他方の制度・社会的なアプローチからは、理想的な理念を掲げて実践されてきた保育・教育が、結果的に次のような問題をはらんできたとの報告がなされている。それは、(1)教育機関(学校)が階層化を助長する(社会的再生産)、(2)豊かさは世襲される(文化的再生産)、(3)不利益な立場におかれている人は、支配的権力に対して否定的である(文化的生産)、の3つである。このような制度・社会的なアプローチは、基本的に、文化あるいは知識のシステムが個々の実践を生み出すという構造主義的な考えにもとづいている。この見方にたつと、人びとが社会関係のなかで他者と関わり、差異化がすすむプロセスは、ブラックボックスに入れられたままになってしまう。以上のように、個人レベルでの文化的不連続の対応策を導きだそうとする研究、および、制度・社会などのマクロなレベルでの不平等な権力構造を暴きだすことを主たる目的とする研究においては、教育や社会システムの影響力があまりに過大評価され、被養育者の能動性が軽視されてきたという共通の弱点を有している。研究の関心が双方へ二極化してきた原因は、個人レベルの文化的不連続と、制度・社会的なシステムとを関連づける理論や方法論が、ずっと不足したままであったことを証拠づける結果となっている。
[参考情報]
保育士の専門学校
http://www.seitoku.jp/kttcsu/