スーパーモデルーブームとブランドビジネスとの相関関係

2011.05.17

結局のところ90年代初頭に巻き起こったこのスーパーモデルーブームの背景にあったのは、単にカール・ラガーフェルドの報復劇だけでないのは当然です。80年代がその幕を閉じようとした頃、ミラノのフランコ・モスキーノはあるスローガンを打ち出しました。“ストップ・ザ・ファッションシステム”。モードの狂乱期ともいえる80年代においては、現在発表したばかりのモードを数年後には流行遅れにすることで成立してきたかのようなファッションビジネス。シーズンごとに新たなキーワードとホットアイテムを打ち出して、消費者の物欲をかきたてるための繰り返しに対して、クリエイターの立場から異議を唱えたのがモスキーノのこのスローガンでした。それと時を同じくして世界に衝撃を与えたブラックマンデーの経済的打撃。さらには湾岸戦争勃発が与えた心理的不安…。そんな情勢が消費者の購買欲を減退させたのは事実です。そうなるとデザイナー達も、それまでのようなスター気取りだけではビジネス的に人打撃をこうむることになる。何か新しいファクターで消費者の熱い興味を引く必要がある。そこに登場したのがスーパーモデルという存在だったのです。それは後ほどふれるブランドビジネス自体の構造的変化にともなって、一般大衆へとブランドの認知を広く伝播する貴重なインターフェイスの役割を彼女たちに担わせることでした。極論すればスーパーモデルという現象がなかったら現在のブランドブームの源流は生まれなかったといっても過言ではないのです。