青色発光ダイオードができれば、赤色と緑色の発光ダイオードを組み合わせてあらゆる色が再現できる。表示用ならば個々の発光ダイオードの単色の光でもよいのであるが、照明として使うには白い光が望ましい。白い光も、青と緑と赤の三つの発光ダイオードの光で実現できる。青色発光ダイオードができたとき、誰もがそう思った。しかし、日亜化学の発想はちがっていた。白色発光ダイオードが1996年に日亜化学から発表されたときも、なぜ1個の発光ダイオードで白い光が実現できたのか、多くの人が不思議に思ったにちがいない。1990年代の初めに、日亜化学が初めての部品事業として始めていた「分散型EL」は順調ではなかった。分散型ELというのは蛍光体粒子を塗布し、両面につけた電極に電圧をかけて電場発光させようとする一種のランプである。ELを応用した製品のなかでも、市場からの強い要望があったのは、液晶ディスプレイ用の白色光のバックライトであった。電場発光用の蛍光体を組み合わせれば、白色に光らせることができるはずである。しかし、うまくいかない。