eブランドをどのようにして構築していくかについてブランドの育成フェーズを中心に論じてきました。定義しましたように、ブランドとは、顧客の購買行動を中心とする企業活動を通じて企業価値を向上させるものでなければなりません。したがってブランド構築の究極の目標は、「企業がブランドカを高めることによって、より多くの収益を獲得すること」ということにほかなりません。しかし、もう一方でeビジネスの世界においては、収益の獲得よりも顧客基盤拡大を優先させることが特に市場形成期においては勝ちパターンとされているというのも事実です。そしてこのような顧客獲得への取り組みが、競合他社に先んじて圧倒的シェアを奪回し、結果として「第一想起ブランド」になろうとするブランド戦略の取り組みとも密接な関係にあります。多くのeブランド企業が、自社の短期的収益を犠牲にしても顧客獲得のために経営資源を惜しみなく投下している実態があるなかで、eブランド構築の目標設定も通常のブランド構築目標とは異なるべきではないか、と考えられる方も多いと思います。しかしながら、このような事業特性を前提としたうえでなお、私はeブランドの価値向上には収益への反映が必須であると考えています。その理由を簡単に述べたいと思います。ある企業において、積極的先行投資に伴いコストレベルが大変高く、コストの総額が収入を上回るような財務状況にあったとしましょう。このような場合には、この企業の持つブランドカがどんなに強いものであったとしてもブランドが元手で創出される超過収益は結果的に全く発生しないということになってしまいます。これは言い換えれば、ブランドへの投資からのリターンを企業が得ていないということに等しいのです。