クレジットカードも使えない

2011.06.29

出入国の手続きはそれぞれに出国側だけで済ませばよかったが、お役人の態度が対象的だったのが面白かった。言ってみれば、二人勤務のポルトガル氏はいずれも鷹揚で、旅券も見ずにどうぞおいでなさい、といったように首を傾ける。だが帰路のスペイン氏はよほどひまだったのか、四人もが車を取り囲むようにして、スペインへ来た目的などを聞く。こちらのお役人は皆あごが上かっていたように見えたが、隣の国よりスペインの方が格が上なのだぞといった気負いのような感じは、あまり愉快なものではない。実を言えば、このスペインは偉いのだぞ、とは、ほかの場所でも感じたことだった。元をただせば旅先での不注意が原因になるが、国境から六キロ離れたフレズノの町で、ポルトガルの通貨エスクードをスペインのペセタに両替しようと銀行に行った時である。「しまった!」と思った。その日は日曜日で、銀行の木戸は鍵がかかっていたのである。旅に出ると日や曜日がわからなくなってしまう時がある。のんびりとポルトガルの雰囲気を楽しんでいる間に、曜日を確かめることも忘れてしまったのだろう。おなかも空いてきたし、のども乾いている。近くにあった小さな食堂で、エスクードでもいいかと聞けば、即座にノーの返事。小さな店たったためかクレジットカードも使えないと言う。