シンシナティ大学でファッション・デザインのコーディネーターを務めるマージー・ヴォルカー=フェリアが言う。「大量にTシャツを作れば値段は安くなりますが、数百着しか作らない場合には、一着あたりの値段は跳ね上がります」。また、高価格にはある考え方が示されてもいる。服というのは、値段が高ければ、それだけで余計に価値があるように感じられるものなのだ。長年自分のデザインを盗んで廉価版を作ってきたコピー専門デザイナーと一線を画すため、世界のエリート・プレタポルテ・デザイナーたちは、デコレート・クチュールとも呼ばれる新たなラグジュアリー系ジャンルを作り出してきた。手の込んだ刺繍を施したり、上質の生地を使ったりした、既製服としてはちょっと手が出ないほど高価なものである。自分だけいいものを着たがる裕福な客の欲求に訴える(そして、無粋な貧乏人を寄り付かせない)ための策だ。また、値段には、あるアイテムが個人のクロゼットに至るまでに起こる一連の出来事が詰まっているという側面もある。各企業は、製品を買い手に渡すためにいろいろと費用をかけており、買い手はレジでその分を支払うことになるわけだ。クレジット・カードでラルフ・ローレンのアンゴラ・スクープネック・セーターの代金を支払う時には、商品と一緒に、この会社が打ち立てたイメージの一部も買っているのである。